2023年11月24日に「麻布台ヒルズ」が遂に開業!
麻布台ヒルズ森JPタワー内のタワープラザやヒルズハウス、ガーデンプラザの内部のデザインは統一感があり、ワクワクさせるようなお店が充実していて面白さ大です!
森ビルは麻布台ヒルズに30年の月日と総工費5800億円以上を投資。
これは六本木ヒルズの2倍の規模であり、現在も工事中の虎ノ門ヒルズよりも大きいです。
森ビルとしては絶対に失敗できないプロジェクトですが、工事の遅れにより開業時期に間に合わない施設も出てきそうです。
今回は麻布台ヒルズの主な収入源であるレジデンスとオフィスビルの見込みから麻布台ヒルズが商業的に成功できるかどうかリサーチしていきたいと思います。
目次
総工費5800億円をかけた巨大プロジェクト
「麻布台ヒルズ」は2023年11月24日に開業予定!
当初は2023年3月頃の予定でしたが工事の遅れにより開業時期を延期しています。
麻布台ヒルズを企画運営するのは森ビルです。
森ビルは麻布台ヒルズに30年の月日と総工費5800億円をかけた巨大プロジェクトです。
別名「虎ノ門・麻布台地区第一種市街地再開発事業」で国際競争力強化を図る上で特に重要な地域として指定されており森ビルの責任も重大です。
(引用:森ビル)
敷地面積は約63,900㎡と港区の中では大規模です。
施設は、A街区、B-1街区、B-2街区、C街区と4つのエリアに分かれています。
エリアごとの主な建物
- A街区:麻布台ヒルズ森JPタワー
- B-1街区:麻布台ヒルズレジデンスB
- B-2街区:麻布台ヒルズレジデンスA
- C街区:麻布台ヒルズガーデンプラザ
建物で最もインパクトが大きいのが、高さ330mの「麻布台ヒルズ森JPタワー」。
その最上階11フロアには「アマンレジデンス東京」が入居し、分譲価格を最高300億円で販売との噂。
また、2棟の「麻布台ヒルズレジデンス」や4棟の「麻布台ヒルズガーデンプラザ」などには住居を中心に、ホテルの「ジャヌ東京」や商業施設などが入居予定。
他にも、チームラボボーダレスや地下のフードコートなど約150店舗が出店する模様です。
そして、麻布台ヒルズが重視しているのが総戸数1,400戸の住居。
「世界レベルの理想の住宅」をコンセプトにアマンレジデンス東京やレジデンス棟でラグジュアリーな生活を送ることに森ビルは力を入れています。
でも、B-1街区の工事は大きく遅れており、開業時期に間に合わない可能性が大きいです。
B-1街区の遅延は麻布台ヒルズのビジネスに大きなインパクトがあると思っています。
麻布台ヒルズの状況と秋頃に開業する理由
(2023年6月半に撮影した麻布台ヒルズ)
麻布台ヒルズは30年の月日をかけたビックプロジェクトです。
でも、実際に工事が始まったのは2019年夏頃で最近の話です。
直前まで麻布郵便局が営業していたほど。
それを考えると、工事スケジュールは想像以上にタイトです。
現に当初の開業時期は2023年3月頃の予定でしたが、工事の遅れによりリスケとなりました。
ただ、不測の事態続きで森ビルやゼネコン泣かせのプロジェクトだと思います。
工事着工の翌年から新型コロナの感染拡大、ウクライナ戦争、急激な円安…など想定外の事態ばかりです。
麻布台ヒルズ全体のほとんどが未完成。急ピッチで工事中
現時点で、麻布台ヒルズのあちこちで工事中です。
主な建物で最も進捗が早い麻布台ヒルズ森JPタワーは外観の大枠は完成していますが、内装工事なのか夜中になっても毎日複数のフロアでライトアップ中…。
その他の建物だと外観すら完成していないのもちらほら…。
日曜以外は日中・深夜にわたり敷地内のあちこちで工事中です。
全体的に言って工事の進捗状況は相当遅いというのが感想。
今のペースで本当に秋頃に開業できるのか不思議です。
麻布台ヒルズの工事状況の通り、開業時期が来年に延期という可能性も残されているような気もします。
麻布台ヒルズは「特定都市再生緊急整備地域」に指定されており国内の経済発展にとって重要な地域として認定されたエリアです。
コロナも収束したことですし本来ならオープンセレモニーなど国内外でアナウンスがあっても良いはず。
ちなみに、六本木ヒルズが完成した時には当時の総理大臣(小泉純一郎氏)やロシア大統領など首脳レベルが集まったイベントを開催していました。
麻布台ヒルズはロシア大使館の真正面に位置していますが、現在の世界情勢を鑑みるとロシアからの公式訪問は無さそうですね…。
麻布台ヒルズは開業予定から半年を切りましたが、今のところ森ビルから大々的にアナウンスはありません。
物件7割を占めるレジデンスBは年内の完成は困難
全体的に遅れていますが、最も遅れが目立つのが「麻布台ヒルズレジデンスB」だと思います。
麻布台ヒルズレジデンスBの工事責任者は、三井住友建設です。
進捗は、最近にやっと基礎工事が終わって外観工事に着手したような状況です。
麻布台ヒルズレジデンスBはB-1街区に位置し、高さは約270mで地上64階の高層タワーです。
この1棟だけで戸数は約970戸もあり麻布台ヒルズ全体の物件数7割に相当します。
敷地内にはレジデンス棟として別に、「麻布台ヒルズレジデンスA」がありますが、清水建設が行うこの高層タワーの外観工事はもう少しで完成しそうな勢いです。
現状を考えると、麻布台ヒルズレジデンスBの完成は早くても2024年春以降になりそうです。
一部工事中での開業は森ビルのブランドや信用力を意識?
麻布台ヒルズは一部工事中の状態で年内に開業する模様。
森ビルにとっては本当は完璧な状態で開業したかったと思います。
30年の月日をかけて工事着工に漕ぎ着けたプロジェクトであり相当強い思い入れがあったはずなので開業時期の延期も選択肢にあったんじゃないかなと。
ただ、開業時期延期に伴う森ビルへの信用力や周辺のオフィス需要など総合的に考慮しての判断だったと思います。
この状態でのオープンはイメージや安全管理、ステークホルダーに対するマイナス面も大きいと思うのでこの決断は相当迷いに迷った結果ではないかなと。
一方で、財務上の問題は小さくないですが、財務基盤は安定しているので1年くらい延期しても大きな影響にはないはずです。
現に工事着工まで30年もの時間がかかり、長期間にわたって遊ばせておいた土地も多いと思うので機会損失は今更という感じです。
森ビルは非上場なので資金調達が銀行借入や社債など資金調達が限られているので金利負担が多いと思いきや、2023年3月期は約2.7%で三井不動産の約2.4%と大きな違いはありません。
今後金利引き上げのリスクはあるものの、収益性は高いので財務上の影響を今すぐ心配するほどではないと思います。
オフィスビル空室がビジネス成功の可否
森ビルビジネスモデルは簡単に言えば、賃貸料メインの不動産賃貸業です。
麻布台ヒルズの主な収入源はマンションとオフィスビル・商業施設からの賃貸料です。
楽観的な見通しでも採算性を取るのは相当ハードだと思います。
というのも、総工費5800億円以上と投資額が莫大だからです。
森ビルも計画を立ち上げた段階ではここまで投資が膨らむとは考えていなかったはず。
投資額が過去最大になったのは、地権交渉に時間がかかり工事着工まで30年もかかってしまったこと。
麻布台ヒルズは超高級マンションで人気物件に
アマンレジデンス東京は分譲価格が最低20億円から最高300億円と話題になりました。
国内どころかワールドクラスで高い物件ですが、既に完売したなんて噂も…。
一方で、2棟の麻布台レジデンスは森ビル運営であり、賃貸物件が多いとの話です。
実際に森ビルが運営する高級マンションの多くが賃貸です。
麻布台ヒルズで各物件と戸数、物件の種別が下記の通りです。
麻布台ヒルズの住戸
- アマンレジデンス東京(分譲):約91戸
- 麻布台ヒルズレジデンスB(賃貸):約970戸
- 麻布台ヒルズレジデンスA(賃貸);約320戸
麻布台ヒルズレジデンスA・Bの通り、価格は全体的に高い上に日本一の賃貸と予想。
5800億円の総工費を回収するにはマンションやオフィスビルの賃料に転嫁せざるを得ず、高価格帯の部屋ばかりとなるはずです。
でも、麻布台ヒルズレジデンスはすぐに人気のマンションとなると思っています。
港区内には「パークマンション」や「パークコート」、「プラウド」など高級マンションシリーズは多いですが、ヒルズのブランドは別格の印象です。
ヒルズ族はお金持ちの象徴であり、憧れる人も多いと思います。
麻布台ヒルズ周辺には六本木ヒルズをはじめ、虎ノ門ヒルズや仙石山森タワーなどヒルズブランドのマンションが数多くありますが、常に満室状態です。
麻布台ヒルズレジデンスは超高級マンションとしてブランド認知されて空室リスクは高くないと思っています。
ただ、現状では麻布台ヒルズ全体の総戸数1,400戸の内、7割相当の物件が未完成です。
麻布台ヒルズレジデンスBが完成するまでは騒音や景観などの問題で「世界レベルの理想の住宅」とは程遠いと思います。
麻布台ヒルズレジデンスBの2階には保育所が設置の予定ですが、ここが敷地内の保育施設という前提だった場合は小さな子供連れの住人にとってはマイナス要素かもしれません。
入居企業は5割。オフィスビルの空室が目立つ
麻布台ヒルズは住居を重視した施設ですが、オフィスビルも重要な収益源です。
オフィスビルの面積は六本木ヒルズよりも麻布台ヒルズの方が大きいです。
麻布台ヒルズの総貸室面積の9割以上が麻布台ヒルズ森JPタワーです。
このビルの外観はほとんど完成しており残りは内装工事という状態で毎晩夜中でも複数のフロアで点灯しています。
問題はオフィスビルの入居企業の内定率が8月時点で5割と空室が目立つことです。
8月の記者会見で森ビルの辻社長の説明では「2023年度内に100%を目指す」とありましたが、どうやら11月の開業までに内定率100%は不可能な模様です。
個人的には既に5割も埋まっているのが驚きです。
新型コロナを機に首都圏にある本社が地方へ移転するケースが相次ぎ、現在もその傾向にあります。
地方ではないものの富士通は汐留から川崎に移転を予定しています。
コロナ収束で脱オフィス化から出社を義務付ける企業が増えてきたものの、本社を賃料が高額な場所に設ける必要性は減っていくのかなと思います。
一昔前は丸の内や六本木に本社を構えることがバリューになった時代もありましたが、今は経済合理性の方が重視されてきている気がします。
何より、オフィスビルの総貸室面積が大きい虎ノ門ヒルズが大きなネックだと思っています。
虎ノ門ヒルズも森ビル所有のビルであり、麻布台ヒルズまで徒歩10分ちょっとで歩ける立地です。
2つの大型商業施設でもオフィス需要を満たせると考えていたはずですが、新型コロナで計画は大きくズレたはずです。
森ビルは2023年度中に麻布台ヒルズの入居企業100%を目指すとしていますが、相当ハードだと思います。
仮に入居企業が増えたとしても、森ビルの別のビルが空室になるなど森ビル全体では大きな変化はあまり見られないのでは?と考えています。
知名度が低く港区民でも知らない人多数
麻布台ヒルズで今後問題になりそうなのが、認知度の低さです。
県外の人はおろか都内に住む人も麻布台ヒルズについて知らない人は多いです。
麻布台ヒルズは年間来場者数を約2500万人から3000万人と想定。
ちなみに、六本木ヒルズは初年度が4500万人で、現在も4000万人と安定しています。
知名度が高くない理由は、麻布台ヒルズが開業前でありアナウンスが少ないこと。
工事の遅れで開業時期が未定な上に、知名度向上に貢献しそうな商業施設やテナント企業が集まっていないからなのか?情報がほとんどありません。
麻布台ヒルズは日本一高いビルや日本一高級なマンションなど話題性はあるものの、ここに魅力を感じるのはタワマン好きや高級志向など一部の人だけなのかも。
現時点では麻布台ヒルズは目標来場者数をクリアするのはハードルが高いと思います。
これから広報活動を積極的に行うとしても六本木ヒルズほどの知名度を集めるのは簡単ではないです。
この状態だと、オフィスビルやマンションにも影響しかねないので今後の森ビルに期待。
まとめ | 麻布台ヒルズの成功はハードルが高い
まとめ
- 総工費5800億円が採算性で最大のネック
- 一部工事中で開業模様。住居環境に影響あり
- オフィスビルの空室率は異常に高い
深夜や大雨でもほとんど休まずに敷地のあちこちで工事中です。
麻布台ヒルズの課題は施設を完成させることですが、見通しは立っていません。
現に開業時期は秋頃開業と含みを持たせています。
工事完了の見通しが立たない限り、レジデンスもオフィスビルもプランが立てられずにいつまで経っても空室の状態となってしまうと思います。
とは言え、大半の施設は開業時期まで完成しそうなので、ネックは麻布台ヒルズレジデンスBです。
総工費5800億円で採算性を取るには、レジデンスやオフィスビルとして満室に近い状態をキープし話題の施設となることが必須。
2023年に「虎ノ門ヒルズステーションタワー」をはじめ、「住友不動産東京三田ガーデンタワー」など大規模オフィスタワーが完成し、2024年以降にも港区周辺に次々に新しいオフィスビルが完成の模様です。
8月8日に森ビルの記者会見後から当ブログへのアクセスが急増。
開業時期(2023年11月24日)や商業施設一覧(こちら)などを発表してからテレビやブログニュース、SNSで数多く取り上げられるようになりました。
麻布台ヒルズの世間の関心度が低いと心配していましたが、記者会見後に当ブログへのアクセスが急増。
突然、色々なところで「麻布台ヒルズ」関連のニュースが報道されるようになって森ビルやるじゃん!と感じました。
高級志向の商業施設が多い中で、港区内では大規模の本屋の設置はホントにグッジョブです。
でも、不運なことに8月半ばに中国の不動産大手の「中国恒大集団」がアメリカにて破産法を申請。
手続き状の措置とは言え、中国経済悪化は森ビルが2008年に完成させた「上海ワールド・フィナンシャル・センター」のビジネスに影響があるはずです。
とは言え、森ビルには非上場企業で株主意見に左右されず理想の街づくりができる強みがあります。
麻布台ヒルズが工事着工するまでの30年間に、バブル経済崩壊やITバブル崩壊、リーマンショック、東日本大震災、新型コロナ感染拡大…と様々な苦難を乗り越えてきました。
きっと、森ビルは麻布台ヒルズを快適な商業施設にしてくれると期待。