2023年11月24日に「麻布台ヒルズ」が遂に開業!
麻布台ヒルズ森JPタワー内のタワープラザやヒルズハウス、ガーデンプラザの内部のデザインは統一感があり、ワクワクさせるようなお店が充実していて面白さ大です!
同じ森ビルが運営する六本木ヒルズは開業直後にゴールドマンサックスやグーグル、リーマン・ブラザーズ、楽天など数多くの企業が移転して話題となりました。
では、麻布台ヒルズにはどんな企業がテナントとして移転してくるのか?
現時点のテナント企業と、コロナ禍での働き方改革や金融不安などがオフィス需要にどんな影響を与えるのか掘り下げていきます。
目次
開業半年前で入居企業の内定率は5割
麻布台ヒルズには複数の建物にオフィススペースがあります。
総貸室面積の9割以上が、高さ330mの「麻布台ヒルズ森JPタワー」です。
このビルの貸室面積は約204,000㎡(全体が213,900㎡)で、六本木ヒルズ全体よりも1.2倍程度オフィスビルとしての機能が大きいです。
開業直前でも麻布台ヒルズへのテナント企業の入居率は5割。
8月の記者会見で森ビルから発表があり、2023年度中に入居率を100%に持っていきたいとのことです。
主な入居企業・施設
- チームラボボーダレス
- ジャヌ東京(ホテル)
- ドイツ証券・ドイツ銀行
- SHIFT(シフト)
- エージェント・スミス
- ベイカレント・コンサルティング
- ボードルア
- 日本タタ・コンサルタンシー・サービシズ
- エムディー
- カワセ印刷
- インキュベイトファンド
- DIMENSION
- フォースタートアップス
- GO
- IRIS
- パーソルキャリア(2024年11月予定)
- ラクスル(2025年1月予定)
- 慶應義塾大学病院予防医療センター
最も本社移転の話が早かったのが、ドイツ証券。
移転のニュースは今から2、3年も前からあったほど。
2024年に現在の山王パークタワーから移転予定です。
また、商業施設としてはチームラボボーダレスやジャヌ東京も本格的な工事が入る前後で噂になっていました。
この2つの商業施設は麻布台ヒルズ全体に大きな影響を与える規模感なのでだいぶ早くから交渉は進んでいたはずです。
現時点で、テナント企業はIT系やコンサルティング系が多いです。
例えば、SHIFTやベイカレントコンサルティングはプライム上場の大手です。
その他、エージェントスミスやボードルア、日本タタなどもIT系です。
「Tokyo Venture Capital Hub」という国内最大のスタートアップ集積地が設立される関係でVCやCVCなど70社が移転予定です。
インキュベイトファンドやDIMENSIONなどはベンチャーキャピタルであり、ドコモなどのコーポレートベンチャーキャピタルも入ります。
企業数は多いですが、オフィスはガーデンプラザBの4階と5階であり占有面積は小さいです。
プライム上場や外資系企業とは言え、六本木ヒルズや東京ミッドタウンと比べると現時点のテナント企業は多少見劣りがある気がします。
開業当時は六本木ヒルズには外資系投資銀行やグーグル、大手法律事務所など、東京ミッドタウンにはファーストリテイリングや富士フィルム、コナミ、ヤフーなどがありました。
六本木ヒルズには自家発電を設置していますが、これは停電時でも事業継続できるようにテナント企業からのリクエストがあった為です。
麻布台ヒルズは自家発電や地震対策は万全ですが、開業前でしか実現できない注文もあるはずなのでテナント企業は増えて欲しいところです。
麻布台ヒルズにも大手企業の本社移転があるかどうか楽しみです。
飲食店やアパレルショップ・カフェなど商業施設
8月に森ビルから麻布台ヒルズの詳細発表があり、麻布台ヒルズの開業時期は、2023年11月24日。
商業施設の詳細は下記の記事に建物別に整理したのでご覧ください。
オフィスビルは空室が目立つものの、商業施設は十二分に集まっている印象です。
国内初や新業態など「新しさ」や高級志向のあるお店が多いと思います。
なぜ麻布台ヒルズにテナント企業が少ない?
(麻布台ヒルズ近くの六本木一丁目周辺のビル群)
麻布台ヒルズの開発がスタートしたのは30年も前。
その間に完成した、六本木ヒルズや虎ノ門ヒルズは大成功し、麻布台ヒルズにも期待していたと思います。
まさか今だに話題の企業移転のアナウンスが少ないとは…。
この状況は麻布台ヒルズに限った話ではありません。
2023年3月に開業した東京ミッドタウン八重洲は直前までテナント企業の半分が入っていないとニュースになっていました。
テナント企業が入らない理由には以下がありそうです。
入居企業が少ないと思う理由
- コロナ禍で働き方が変わり脱オフィス化
- 港区のオフィスビルの供給過剰
- 外資系企業のリストラ・金融不安
話題の麻布台ヒルズにテナント移転が少ない理由について具体的に見ていきます。
コロナ禍で働き方が変わり脱オフィス化
新型コロナをきっかけにテレワークという働き方が普及しオフィス需要が大きく変化。
感染防止策の一環で出社率が低下し在宅勤務によりオフィスの空室率が急上昇しました。
アフターコロナとなった今でも、働き方の見直しで在宅勤務で働ける仕事も増えました。
オフィスの縮小や地方への移転などが相次ぎ都心の空室率は依然として高いままです。
今まさに影響を受けているのが、麻布台ヒルズだと思います。
麻布台ヒルズは六本木ヒルズのようにIT企業に期待していたはずですが、テレワークしやすい業種だけに今もテナント探しをすることになっているのでは…。
六本木ヒルズに本社があるグリーはコロナ直後に別のビルに移転を予定していたものの、森ビルが好条件を提示して六本木ヒルズに留まったとか。
これは他のビルでも同様のことが起こっており、賃料減額やフリーレントなど特典で引き留めているようです。
話題の施設とは言え高いオフィス賃料を負担してまで移転する企業は現在のトレンドを考えると多くないのかなと思います。
むしろ、脱オフィス化が進む今は大型のオフィスビル建設は逆行している気がします。
供給過剰?港区のオフィスビルは空室率が高い
港区には大小のオフィスビルだらけです。
麻布台ヒルズの周囲300m圏内には10以上もの大規模オフィスビルがあります。
港区には汐留や西新橋、品川、田町などのオフィス街もあります。
再開発も進んでおり、六本木ヒルズ向かえには54階建の複合商業ビルが工事中です。
コロナ禍でオフィス離れの上に、ここまで大型のオフィスビルがあるのは供給過剰と言えると思います。
実際、供給過剰の目安とされる5%を港区は8%で大きく上回っています。
(引用:森ビル)
ちなみに、上記でご紹介したオフィスビルのうち、6ヶ所が森ビル運営です。
現在、六本木ヒルズに本社を構えるゴールドマンサックスは2023年に同じ森ビル運営の虎ノ門ヒルズステーションタワーに移転する予定です。
虎ノ門ヒルズの存在が麻布台ヒルズにマイナスになっていないか心配…。
虎ノ門ヒルズ全体の総貸室面積は約305,000㎡で、麻布台ヒルズよりも1.3倍も大きい規模です。
どちらも最高のロケーションですが、虎ノ門ヒルズは新橋や内幸町から徒歩圏内なので比較的大企業に人気があるのかなと思っています。
おまけに、虎ノ門ヒルズステーションタワーの開業が2023年10月で麻布台ヒルズと同じタイミングです。
施設として完成する虎ノ門ヒルズに魅力を感じる企業は多いはず…。
外資系企業の相次ぐリストラと金融不安
最近ではGoogleやAmazon、Meta、ゴールドマンサックス、マッキンゼー、アクセンチュアなど大手企業が相次いで人員削減を行なっています。
この他にも不安なニュースは続き、2023年3月にはアメリカの複数の銀行が破綻。
大手金融機関であるクレディスイスが経営不安視されUBSによる買収などがありました。
この影響でドイツ銀行の株価が急落。
六本木ヒルズをはじめ、虎ノ門ヒルズやアークヒルズなど森ビルのオフィスビルには外資系が多いです。
六本木ヒルズやアークヒルズのオフィスマップを見ると、カタカナ表記の企業ばかりです。
毎日これらのスタバに通っていますが、外国人の方を見ない日はないほど。
外資系企業の相次ぐリストラと金融不安は麻布台ヒルズのテナント集めに大きな影響を与えてるはずです。
現在も「麻布台ヒルズ森JPタワー」の複数のフロアで事務所募集を見ることができます。
テナント企業は外資系やIT、ベンチャーの予感
(ヒルズブランドで最も歴史が長いアークヒルズ)
テナント企業の空室は麻布台ヒルズにとって大きなマイナスです。
経済的な問題もありますが、それ以上にブランドに悪影響です。
とは言え、今後もテレワークと併用した働き方でオフィス集約化でオフィス需要は減少傾向です。
状況は厳しい中でいかにテナント企業を集めていくか見ものです。
森ビル所有の有名オフィス企業の移転が有力?
森ビル保有の施設から麻布台ヒルズへ外資系コンサルやIT企業、大手法律事務所などを移転させるんじゃないかなと思っています。
不動産ディベロッパーが所有ビルやグループ間でのテナント企業移転は一般的です。
実際、開業直前までテナントが集まらなかった東京ミッドタウン八重洲には三井不動産が所有する別のビルから複数の企業が移転しています。
三井不動産や三菱地所のような財閥系や鉄道系、銀行系などグループ会社で不動産会社を運営している場合はグループ間でオフィス移転が可能です。
でも、独立系である森ビルはグループ会社が少ないので、麻布台ヒルズのテナント集めには森ビル所有のビル間でオフィス移転有力だと思っています。
実際、森ビルとは資本関係のないゴールドマンサックスは六本木ヒルズから虎ノ門ヒルズへオフィスを移転予定です。
ナンバービル(例:虎ノ門33森ビル)は竣工して50年以上が経過。
アークヒルズや愛宕グリーンヒルズ、六本木ヒルズ、オランダヒルズなども15年以上が経過しています。
個人的な推測として、森ビルのテナント企業から麻布台ヒルズへと移転があると思っています。
特に、外資系企業やコンサル、法律事務所など規模は大きくないものの、ブランド力のある企業が多いのでこれらが移転すると考えています。
幸い、森ビル所有のオフィスビルの大半が麻布台ヒルズ周辺です。
アークヒルズや仙石山森タワーなどは最寄駅は同じなので従業員の移動も問題ありません。
メンバーラウンジはITやベンチャー企業に魅力的?
麻布台ヒルズ森JPタワーの33階と34階に設置されるのが「ヒルズハウス(Hills House)」。
ヒルズハウスは総称で33階の「Members Lounge」と「Dining 33」、34階の「Sky Room」が開業予定となっています。
Members Loungeは入居企業の従業員専用のエリアとなっています。
ここにはカフェやワークスペースなどがあり、企業の垣根を超えて交流できる場所なのが注目です。
おそらく社員食堂とは異なりラウンジのようなスペースと推測しています。
イメージで言えば、六本木ヒルズにあるアカデミーヒルズのような施設です。
麻布台ヒルズをはじめ、虎ノ門ヒルズやアークヒルズにはスタートアップのワークスペースがあり、ベンチャーに力を入れています。
業種や職種、社員の国籍を超えて交流できたら面白いビジネスが創造できそうです。
IT系やベンチャー企業にとってMembers Loungeは入居するきっかけの一つになるのでは?と思っています。
まとめ | 麻布台ヒルズがテナント企業集めに必死
まとめ
- 開業半年前でテナント入居は3割程度
- 多様な働き方や供給過剰、市況悪化でテナント集めが困難
- 金融不安でドイツ証券のオフィス縮小も?
- 外資系企業やIT、ベンチャーが多い予感
麻布台ヒルズは開業直前にもかかわらず、テナント企業の内定率は5割。
大規模開発の場合は長期間に及ぶのでその間に金融危機やパンデミックなど様々なトラブルが付き物です。
ただ、コロナ禍により在宅勤務へと働き方が変化し脱オフィス化は森ビルにとって予想外だったはず。
コロナは収束しつつあるとは言え、本社機能の集約化やテレワーク併用などオフィスニーズは減少傾向にあるのかなと思っています。
入居率を上げるには、森ビル運営建物のオフィス企業移転が現実的なのかなと思っています。
幸い、麻布台ヒルズ周辺にオフィスがありますし、規模も小さい企業が多いので移転の影響もありません。
一方で、金融機関やコンサルなど有名企業が多いので大きな話題になります。