2023年開業の複合商業施設「麻布台ヒルズ」。
麻布台は高級住宅街であり都心のど真ん中に位置する場所ですが、ほとんどの方は「麻布台って何?」と思った方も多いと思います。
実際、麻布台ヒルズが計画・工事される前まで麻布台の印象は地味な街でした。
麻布十番が最寄駅でも南麻布や西麻布、六本木とは雰囲気が大きく違います。
そこで、麻布台ヒルズがある「港区麻布台」という地域についてご紹介していきたいと思います。
目次
麻布台ヒルズの場所とヒルズ名の由来
「麻布台ヒルズ」は、森ビルが2023年開業に向けて急ピッチで建設中の大型複合商業施設です。
今も工事は進行中なので「虎ノ門・麻布台プロジェクト」となっています。
「麻布台ヒルズ」の由来は、「麻布台」という地域名と森ビルの「ヒルズ」ブランドからきています。
実は、麻布台ヒルズの所在地は麻布台1丁目と虎ノ門5丁目にまたがっています。
なぜ、「虎ノ門」の地域名が使われなかったかというと、既に「虎ノ門ヒルズ」があり、敷地の大部分が麻布台である為に「麻布台ヒルズ」という名称になっています。
麻布台ヒルズは日本一高い「麻布台ヒルズ森JPタワー」を筆頭に270m、240mの麻布台レジデンスなど超高層タワー群や、分譲価格が最高300億円と話題の複合商業施設です。
元々、330mの超高層タワーが建てられる前までは日本郵便の所有していた土地でした。
ちなみに、「麻布台ヒルズ森JPタワー」のJPは日本郵便のJAPAN POSTが由来です。
(取り壊される前の麻布郵便局)
この場所には煉瓦造りの雰囲気良さげな「麻布郵便局」がまだ引っ越し当初の2018年には現存してありました。
結局、麻布台ヒルズ開業に伴い取り壊されることとなり、その名残としてメイン塔に「JP」の文字が加えられています。
麻布台には大使館や東京アメリカンクラブ、公共施設など
(まだ本格的に工事が行われる前の麻布台ヒルズ)
港区は思いのほか広大なので、芝地区、麻布地区、赤坂地区、高輪地区、芝浦港南地区の5つに分かれています。
麻布地区は、麻布十番、元麻布、南麻布、西麻布、東麻布、麻布台、麻布永坂町、麻布狸穴町、六本木の9エリアに分かれておりその一つが麻布台です。
麻布台は1丁目、2丁目、3丁目があります。
(麻布十番駅から麻布台までの急な坂)
港区はとにかく坂が多いのが特徴です。
特に、麻布台はその名の通り丘の上に位置しており麻布十番駅周辺よりも30mくらい高い場所にあります。
「麻布台ヒルズ」がある麻布台1丁目周辺は坂を上がりきった場所で比較的フラットな地形です。
一方で、麻布台2丁目と3丁目は場所によっては坂の途中に位置しているエリアも多く、写真のように高低差を活かしたマンションもちらほらあります。
そして、麻布台にある主な施設がこちら。
麻布台にある主な施設
- 麻布台ヒルズ
- ロシア、カザフスタン、アフガニスタン、モルディブ、トンガ、フィジーなどの各国大使館
- 東京アメリカンクラブ
- 外務省外交史料館
- 日本経緯度原点
- 麻布小学校・麻布幼稚園
麻布台ヒルズを除けば、大きな施設は東京アメリカンクラブとロシア大使館です。
ただ、インパクトで言えばある意味で圧倒的にロシア大使館です。
東京アメリカンクラブは格式が高い国際会員制のクラブです。
クラブ内にはフィットネスジムやプール、ボーリング場、図書館、レストランなどがあります。
入会には会員2人からの推薦と英語でのインタビューがあり、許可されれば入会金350万円に毎月3万円で利用できます。
東京アメリカンクラブは麻布台の他に、2021年に開業した日本橋の2つがあります。
東京アメリカンクラブに入ったことがありますが、セキュリティが厳重で施設がとにかく豪華です。
実は新型コロナワクチン接種会場だったので2回入りましたが、こんな機会でもなければ入ることはなかったと思います。
(左にあるのが外務省外交史料館)
麻布台ヒルズに隣接した場所に外務省外交史料館と麻布小学校があります。
外務省外交史料館は明治・大正・昭和時代の外交記録などの資料が展示されている施設です。
麻布小学校は公立で明治時代に創立された歴史ある小学校です。麻布幼稚園も併設されています。
どちらの施設も麻布台ヒルズの建設工事の出入り口となっているのでここ数年ずっと物々しい雰囲気です。
特に、麻布小学校の真裏に330mの麻布台ヒルズ森JPタワーと270mの麻布台ヒルズレジデンスがあるので開業後も影響がありそうです。
(麻布小学校の裏手に麻布台ヒルズ)
その他は小さな飲食店がちらほらあるくらいです。
麻布台ヒルズの目の前には口コミが高いパン屋やケーキ店、イタリアンなど有名な飲食店が多いです。
麻布台は基本的に閑静な街なのでタワマンから戸建まで住宅が比較的多いエリアです。
ただ、麻布台ヒルズの影響で東京タワーが見えない?の記事の通り、超高層タワーが3棟も建つことで東京タワーの眺望が無くなるところは多数です。
おそらく六本木ヒルズレジデンスからも見えなくなってしまった部屋はあるはずです。
「グランスイート麻布台ヒルトップタワー」という28階建のタワマンは「麻布台ヒルズ森JPタワー」の目の前にあるので圧迫感がハンパないです。
億ションなので高いお金を払ってマンションを買った方がホント気の毒です…。
ロシア大使館には警察官の厳重警備・街宣車
港区にはアメリカやフランス、ドイツ、中国など50カ国以上の大使館・領事館があり、そのほとんどが麻布地区にあります。
ロシア大使館周辺は警察官により24時間厳重体制です。
大使館前だけでなく、大使館前の表通りも警察官がゲートを敷いているような状態。
普段でも警察官は20人、週末だと50人以上の警察関係者がいます。
日本にある大使館の中ではトップクラスの警備体制です。
大使館の先に東京タワーがあるので、夜に一眼レフカメラを持ちながら歩いていたところ何を撮影するのか呼び止められたほど。
大使館だから当然と思いきや、実はほとんどの大使館は警察官すらいません。
ひっそりした佇まいなので大使館の存在すら気づかないところもちらほら…。
(右手の建物がロシア大使館。週末の日中は警備が更に厳重になります)
ここまでロシア大使館が厳重警備なのは、北方領土問題で日本とあまり良好な関係ではないから。
ロシアが北方領土を不法占拠して数十年、いまだに解決していません。
これに拍車をかけたのが、ロシアによるウクライナへの侵攻。
ウクライナ戦争をきっかけに警備がより厳重になりました。
ウクライナ侵攻から1年が経過しますが今もほとんど毎日、ロシア大使館前でプラカードを持ちデモを行っている人を見かけます。
なぜ、ロシア大使館周辺がここまで厳重警備をしているかと言えば街宣車の影響が大きいです。
街宣車は「北方領土返還」や「ウクライナ撤退」などを大音量で演説したり音楽を流したりします。
周辺の住民にとって騒音であるのは間違いないですが、言論の自由とかで街宣車をストップさせることは難しいようです。
自分は耳栓をしながら寝ていますが、街宣車の騒音で起こされてしまうほどの大音量…。
住民や会社員、観光客で賑わう麻布台ヒルズ周辺での街宣車はブランドに大きな影響を与えるのでは…と思っています。
麻布台を含め麻布十番の住みやすさや住居環境、治安などを上記の記事でご紹介しているので良かったらご覧ください。
麻布台ヒルズに30年の月日をかけた森ビルの歴史
麻布台の雰囲気は「麻布台ヒルズ」の開発で大きく変わりました。
実は、この麻布台ヒルズが完成するまでに30年も月日が経過。
「麻布台ヒルズ」をを指揮する森ビルは、六本木ヒルズや虎ノ門ヒルズのように港区を拠点とするディベロッパー。
不動産ディベロッパーはオフィスやマンション、リゾート開発などの企画がメインであり、実際に工事を行うのはゼネコンです。
麻布台ヒルズの建設・工事業者として清水建設や大林組、三井住友建設が担当しています。
大手ディベロッパーには、森ビルの他に三井不動産や三菱地所、住友不動産などがあります。
各社とも特定の地域に強みを持っており、三井不動産であれば日本橋、三菱地所であれば丸の内…などです。
森ビルが得意とするのは港区であり、不動産事業がスタートしたきっかけの場所でもあります。
(現在も工事中の虎ノ門ヒルズ)
森ビルについて簡単に歴史を振り返ってみると、設立は1940年頃。
戦前は港区(現在の西新橋)で米穀店を営んでいましたが、戦後に地価高騰を予想した創業者の森泰吉郎氏が虎ノ門周辺の土地を買い占め、次々にナンバービル(第○森ビル)を建設。
最近のビル名にナンバーは使われていませんが、今でも虎ノ門周辺で「36森ビル」などの建物は現存します。
(右手前にあるのがアークヒルズ)
森ビル初の大規模開発が1986年に完成した、「赤坂アークヒルズ」。
ここから大規模開発は加速し、「城山ガーデン」、「愛宕グリーンヒルズ」、「元麻布ヒルズ」、「六本木ヒルズ」、「虎ノ門ヒルズ」…と約30年間で5つ以上もの大規模な施設を完成させてきました。
その間にも麻布台ヒルズの準備も着々と進行中であり開業間近です。
麻布台ヒルズ建設にここまで時間がかかったのは、土地の買い占め、いわゆる地上げに困難だったからです。
地上げに時間がかかったと言われる六本木ヒルズでさえ17年なので、30年の月日をかけて完成を迎える麻布台ヒルズに対する森ビルの思いは強いものがありそうです。
麻布台ヒルズの最寄駅となる「六本木一丁目駅」と「神谷町駅」の住居環境について上記でご紹介しているので良かったらご覧ください。
まとめ | 「麻布台」という街について
- 元々、麻布台は閑静な住宅街だった
- 麻布台ヒルズは、麻布台という地域名とヒルズブランドが由来
- 古くからロシア大使館や東京アメリカンクラブなどの施設がある
「麻布台」という地域は麻布地区の中でも小ぢんまりとした商店が多く、閑静な住宅街でした。
これが麻布台ヒルズ開業に伴い麻布台への影響は計りしません。
麻布台ヒルズが開業によって麻布台周辺が活性化するという話がある一方で、閑静な雰囲気が台無しになってしまうという声もあります。
個人的には複合商業施設がオープンすることはウェルカムですが、3棟の超高層タワー群は東京タワーの眺望を壊し、周辺には大きな圧迫感を与えることとなっているので超高層タワー建設にはネガティブです。