法定雇用率は年々上昇中も採用するかは企業次第
障害者採用は従業員数に法定雇用率を掛け合わせた数がベースになっています。
現在の法定雇用率は2.5%。
昨年度は2.3%で年々増加傾向中にあります。
従業員数が100人以上の会社の場合には障害者納付金制度により、達成度合いに応じて納付なり受給なりが生じることになります。
政府が求めているターゲット(法定雇用率×従業員数)をクリアしていれば一人当たり2.9万円の調整金を受け取ることができ、未達成なら5万円の納付金を支払うことになります。
つまり、従業員数が多いほど、採用するべき障害者数は多くなる傾向にあります。
障害者には主に身体障害者と知的障害者、精神障害者がありますが、どの障害を持った人を採用するかは会社次第。
ただ、多くの企業では身体障害者を採用する傾向にあります。
実際、障害ごとの平均給料は身体障害者が圧倒的に高く、身体が21.5万円に対して精神が12.5万円と大きな差があります。
この状況は転職活動中に身をもって実感しました。
企業は必ず政府が求める数の障害者を採用しなくてもよいのです。
一種のオプションで企業によっては障害者を採用する代わりに、納付金を支払うところも少なくありません。
コスト的には圧倒的に障害者を採用した時の方が高く、おまけに採用しても普通の従業員のように働けるかは未知数なところもあります。
障害者雇用にはこのような前提条件があると知って頂いた上で、企業が雇うべき障害者数を調べるために活用したのが「厚生年金保険・健康保険適用事業所検索システム」。
平たく言えば、会社ごとの被保険者数を調べることができます。
https://www2.nenkin.go.jp/do/search_section/
今回は化学、ガラス、繊維、セメント、紙業界を扱います。
化学・繊維・ガラス
化学・繊維・ガラス一覧
- 三菱ケミカル:433.25人 (17,330人)
- 東レ:272.35人 (10,894人)
- 旭化成:264.175人 (10,567人)
- AGC:228.95人 (9,158人)
- 住友化学:210.05人 (8,402人)
- 三井化学:202.6人 (8,104人)
- 日本製紙:157.325人 (6,293人)
- デンカ:135.925人 (5,437人)
- クラレ:133.875人 (5,355人)
- 東ソー:125.65人 (5,026人)
- レンゴー:125.075人 (5,003人)
- カネカ:111.7人 (4,468人)
- 信越化学工業:110.75人 (4,430人)
- ダイセル:84.625人 (3,385人)
- 帝人:83.2人 (3,328人)
- 三菱ガス化学:77人 (3,080人)
- UBE:75.9人 (3,036人)
- 大王製紙:75.85人 (3,034人)
- 日本ゼオン:74.775人 (2,991人)
- 日本触媒:69.8人 (2,792人)
- 太平洋セメント:64.025人 (2,561人)
- 日産化学:59.225人 (2,369人)
- 大陽日酸:57.425人 (2,297人)
- JSR:55.175人 (2,207人)
- 日本板硝子:55.15人 (2,206人)
- ADEKA:52.15人 (2,086人)
- 日本電気硝子:50.525人 (2,021人)
- セーレン:45.1人 (1,804人)
- セントラル硝子:42.5人 (1,700人)
- 住友大阪セメント:40.825人 (1,633人)
- 三菱製紙:39.675人 (1,587人)
- 北越コーポレーション:38.075人 (1,523人)
- 日東紡:32.2人 (1,288人)
- 帝人フロンティア:24.175人 (967人)
- BASF:19.125人 (765人)
- 日本紙パルプ商事:16.725人 (669人)
- コーニング:10.825人 (433人)
- シキボウ:10.625人 (425人)
- サンゴバン:6.15人 (246人)
- ダウ:4.275人 (171人)
- デュポン:3.5人 (140人)
従業員数1万人を超える大企業を筆頭に全業界の中でも日本の産業には必須なメーカーが並びます。
まず、化学メーカーとして三菱ケミカルを筆頭に、住友化学、三井化学の売上上位3社があり、それに並ぶように旭化成やデンカ、クラレなどの企業があります。
様々な製品分野に進出しており、話題の半導体分野でも何かしら関りを持っています。
次に、繊維と言えば世界トップシェアの東レが有名です。
ランキングには記載はありませんが、東邦テナックスと三菱レイヨンの3社合計で世界シェアの7割を占めていて、日本企業が得意とする分野です。
ガラス業界では、AGCと日本板硝子が有名です。
両者とも財閥系に所属しており、全社が三菱グループ、後者が住友グループです。
このランキングにある企業で財閥系ではない企業の方が少ないかもしれません。
他業界と比べると、外資系企業が少ないのが特徴の一つです。
BASFは世界最大の化学メーカーですし、ダウやデュポンが上位に並びます。
ただ、日本でのシェアはそれほど大きくない模様です。
少し株式投資の観点で言うと、大手化学メーカーは利益率が低く、PBR(純資産倍率)が低いので割安な銘柄が多いです。
直近の3月期決算では住友化学を含め、赤字の企業もあります。
化学メーカーは原油価格が高騰すると原材料コストの上昇に繋がるので利益が圧迫される仕組みになっていますし、二酸化炭素の排出量が多い業界なのでESG銘柄として敬遠されやすい業界と言えると思います。
大手化学メーカーで障害者採用を募集
三菱ケミカルや住友化学、三井化学では関連会社を含めて障害者採用を行っています。
年収が最大で600万円の求人もあります。
仕事は一般事務で東京本社を含めて、いくつかの事業所で募集しています。
例えば、三菱ケミカルエンジニアリングでは人事部門やIT部門、調達部門にてオープンポジションで募集中であり、週に数回の在宅勤務が可能な魅力的な求人です。
ただ、その他の企業では障害者採用には消極的な印象です。
既存の従業員が病気や事故などで障害を持ったパターンが多いのかもしれません。
そんな中でBASFは障害者採用を行っています。
さすが世界トップの化学メーカーであり、ダイバシティに力を入れる外資系企業という感じです。
まとめ|大手化学メーカーがねらい目
募集内容は一般事務がメインになります。
経理や人事、総務などに配属される可能性が高いので、経理や人事での経験や簿記2級などの資格を持っていると有利になると思います。
また、大手化学メーカーをはじめ、世界の強豪企業とシェア争いを行っているために英語を中心に語学力があるとアピールに繋がります。
そして、個人的には三菱ケミカルをはじめ、大手化学メーカーが狙い目だと思います。
簡単ではないと思いますが、自分ならBASFには必ずエントリーするはず。