まだ6月にもかかわらず関東は梅雨が明け、35度の猛暑日が続いています。
このペースだと7、8月はどうなっちゃうんでしょうか…。。
急な気温の上昇の影響もあってか、全国で熱中症で搬送されている人が今週になってから急増しているとか。
実は自分も10年以上前の話ですが、熱中症で5日間も入院する羽目になった経験があります。
担当医曰く、「もうちょっとで死ぬところだったよ‥」とのこと。
熱中症の注意喚起も含めてその時の経験を振り返ってみたいと思います。
目次
死ぬところだったよ!と怒られた自転車で琵琶湖1周
(海に見えますが、当日撮影した琵琶湖です)
熱中症で病院に運ばれたのは、2011年7月16日のこと。
この日はロードバイクで琵琶湖1周、いわゆる「ビワイチ」をした時の出来事です。
琵琶湖1周は距離にしてちょうど200キロ程度。
当時京都市に住んでおり一度は琵琶湖1周を走ってみたかったので、何の事前準備もせずに決行することに。
まず、京都から大津市に行き、そこを起点として琵琶湖を半時計周りで大津に戻り、自宅へ帰ってくるプランにしました。
(当日乗っていたロードバイクと装備一式)
移動は全てロードバイク(の予定でした)。
この時に乗っていたロードバイクはブリヂストンの「Anchor RCS3」というモデル。
装備は、サドル下に万一パンクした時に修理できるようにチューブや道具類と、2つのボトルケージ(ドリンクホルダー)にそれぞれ500mlくらい入るボトルの軽装。
服装はヘルメットにサングラス、レースパンツという半袖・短パンにビンディングシューズという格好です。
この時は無茶苦茶忙しかったこともあり睡眠時間を削って無理矢理時間を確保。
5時に自宅をスタートしましたが、琵琶湖へ到着した10キロちょっと走行した時点で暑く、眠い上に、連日の忙しさで疲労が溜まった状態。
とは言え、やっと時間を作ってのビワイチでしたのでそのまま決行。
(自然豊かな場所でした)
時計周りを選んだのは湖を見ながら走行できると思ってのことでしたが、走ってみるとほとんど湖を見ながら走ることはできず田舎道を走っている感じでした。
2本のボトルのうち、1本はミネラルウォーター、もう1本はアクエリアスなどのスポーツ飲料です。
ミネラルウォーターは飲料用だけでなく暑くなった時に頭や腕、足にかけて冷やすことができます。
走行しながら水分補給をしボトルが空きそうになったら自販機で補給という繰り返しです。
結局、この日摂取した水分(体を冷やす為に使った分を含む)は6リットルでした。
ただ、実際に走ってみると道沿いにコンビニや自販機がなかなか見当たらず適切なタイミングで水分摂取できませんでした。
小道を入ったところや反対車線にはあるんですが、とにかく最短コースで走りたかったですし、しばらく走ったら自販機はあるはず…という感じだったので水分補給したい時に飲み物がないか、炎天下でお湯になってしまったものしかない状態が続いていました。
朝から暑さを感じつつ若干の頭の痛さもありましたが、真夏に走るロードバイクでは当たり前のことでした。
ただ、100キロ程度走り琵琶湖の真北付近を走っている時に両足のふくらはぎが攣りはじめました。
200キロ弱の走行は何度かありましたが、ロードバイクの最中に脚を攣ったのはこの時が初めてでした。
ペダルを漕ぐたびにどちらかの脚が攣るような状態が続き、コンビニで休憩。
休憩中に何人の方から「大丈夫?」と声をかけられていたのでだいぶヤバかったのかもしれません。
100キロ走った時点でもう体力の限界で走るの辞めたかったんですよね。
でも、この時は輪行バッグという自転車をバラして入れる専用袋を持参していなかったですし、ロードバイクを置いていくわけにもいかないので残り半分…と気合を入れて再び走りはじめました。
ちょっと休憩したからなのか脚が攣るのは多少治りましたが、暑さで頭はガンガンに痛く、走りながら太陽に文句言ってましたw
多分、ちょっと頭がやられていたんじゃないかなと…。。
数十キロをフラフラになりながらどうにか大津市に入り京都まであともう少しという段階で完全に体力が尽き動けなくなりました。
ロードバイクを押しながら歩こうとしましたがそんな気力はもうなく、気づけば道に倒れていました。
その状態でどのくらいいたのかは分かりませんが、どなたかが救急車を呼んでくれたようでストレッチャーに上げられて救急車へ運ばれる時に起きたのを最後にしばらく意識がありませんでした。
次に意識を戻したのは、病院でお医者さんから叫んでいた時。
「ここがどこか分かる?」とまさにドラマで見るシーンでした。
そして医師曰く、「もしかしたら人工透析を受けるかもしれないから」と聞かされてびっくりしたのを最後に再び意識が飛び、取り戻した時はもうベッドの中でした。
ちなみに、これが人生初の入院です。
スマホの充電は切れ、ほとんど持ち合わせが無かったので公衆電話で話すのも苦労し、散々な入院となりました…。
重度の熱中症で腎臓に障害が残る可能性があるとの診断
(スマホの充電が切れる前に撮影した入院風景…)
倒れてから何時間寝ていたのか分かりませんが、翌日になると気分もだいぶマシになっていて前日は死にそう…とか思ってたのが嘘みたいな感じになりました。
担当医の先生から救急車で運ばれてから今に至るまでの話を聞きました。
今回の熱中症は、以前なら熱射病と言われる重症であり、危なかったとのこと。
救急車から病院で治療を受けている段階で何度も全身の痙攣があったとか。
人工透析を避けることは出来ましたが腎臓に障害が残る可能性についての話もありました…。
確かに、重度の熱中症の症状として脳機能障害による意識混濁や肝臓機能障害、腎臓機能障害などが起こるケースがあるらしいです。
Wikipediaの熱射病の治療の項目には
「死の危険性のある緊急事態であり、緊急入院で速やかに冷却療法、人工透析、輸液を行う。」
(引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%86%B1%E4%B8%AD%E7%97%87 )
との記載があります。
命を取り戻せても障害により寝たきりになるなどのケースもあり、この時初めて熱中症が恐ろしいものと知りました。
熱中症による腎臓について例えとして、原発に水がなくなり空焚きしている状態と言われました。
急性腎不全の可能性もあるので5日間の入院で退院後も腎臓の検査が必要とのこと。
入院中はずっとぺロール注という点滴を退院する時まで続けていました。
定期的に血液検査や尿検査もやっていたみたいですが異常は見つからず、退院後しばらくして受けた腎臓の検査結果も問題なしとのことでホントよかったです。
一歩間違えれば腎不全になってたと思うと今でもゾッとします…。。
重度の熱中症になった原因。特に睡眠不足と水分補給
なぜ重症の熱中症になってしまったのか、自分が思いつく原因として下記が挙げられます。
- 睡眠不足と疲労
- ほぼ猛暑日だった時に無理をした
- 十分な水分補給が取れていなかった
- 準備不足と熱中症を甘く考えていた
重症の熱中症にまで進んでしまった原因は、睡眠不足と疲労があります。
琵琶湖1周、200キロを1日で走破するには相当のエネルギーが必要になります。
それにもかかわらず、連日の疲労と睡眠不足から自宅から琵琶湖に着く時点で疲れていました…。
多少疲労が残っていても当日しっかり睡眠を取っていれば多少は大丈夫だったのかもしれませんが、当時の日記を振り返ってみると睡眠時間は3時間ほどでした。
特に、一番暑いタイミングをなるべく避ける為に普段よりも早く出発しようと思ったのが却って悪かったのかもしれません。
次に、ほぼ猛暑日に無理をした点があります。
この日の大津市の最高気温は気象庁のホームページによると、34.8度となっています。
30度以上を真夏日、35度を超えると猛暑日と言われるので当日の天候はほぼ猛暑日という状況だったと思います。
正直、体感的にはもっと暑く感じていたのでもしかしたら連日の忙しさでロードバイクに乗ることができていなかったので7月にもかかわらずまだ身体が暑さに慣れていなかったのも影響している気がします。
夏になれば真夏日はもちろん、猛暑日になる日も多くなりますが、熱中症の直接的な原因は温度なので猛暑日に激しい運動は避けるべきだったのかなと思います。
また、十分な水分補給と塩分を摂取できていなかった点もあります。
当日はミネラルウォーターとスポーツ飲料を合わせて6リットルを摂取しています。
1日で6リットル?と驚く人もいるかもしれませんが、夏に100キロ程度を走る時も3〜4リットルくらいの水分補給をしても自宅に到着した時は喉がカラカラという状態です。
当日の気温とエネルギー量を考えれば6リットルでも十分ではなかったのかもしれません。
たとえ摂取量は十分だったとしても、飲みたい時に飲めない状態が度々あったのは大きいかもしれません。
おまけに、十分な塩分が足りていなかったせいで体調を崩してしまったのもあります。
先生によると、脚を攣ってしまった原因はカリウム不足と指摘されました。
当日に塩分を摂取したのはスポーツ飲料だけでした。
そして最後に、準備不足と熱中症の危険性を理解できていなかった点があります。
長年ロードバイクに乗っていましたが、真夏に頭がガンガン痛いのは当たり前でした。
むしろこの症状がなかった時の方が少なかったと思います。
今考えれば軽度の熱中症になっていたはずです。
でも、頭痛がするだけでその他に異常はなかったので熱中症を甘く考えていました。
確かに、熱中症が原因で亡くなる方がいることは知っていましたが、腎臓や肝臓、脳に障害が残ることは知りませんでした。
当時はまだ20代でしたし普段からスポーツをやっているので自分には関係のないものだと思っていました。
また、準備不足に関して過去の経験から特に準備は必要ないという思い込みがダメでした。
前半でご紹介した通り、当日の装備はパンク修理キットとボトル2本だけでした。
ロードバイクにはパンク以外にも様々なトラブルで自走不可能になるケースがあります。
今回はまさにそれに近い状況でした。
おまけに、当日持っていたお金は2,000円ちょっとだけ。
クレジットカードもなければ、Suicaも持っておらず、ホテルに泊まることもできません。
入院中に色々と入り用なので友達にお金を借りたくらいです。
とりあえず主な原因を挙げてみましたが、小さな原因を含めたらまだまだあります。
実践している熱中症の予防対策
重度の熱中症になってみて初めて熱中症の恐ろしさを知りました。
それ以降は、ロードバイクに限らず、ランニングやウォーキング、(最近やりはじめた)バス釣りでもこの時の体験を教訓に色々と対策を講じています。
主な対策はこちらです。
上記2つについては自転車向きですが、その他は別のスポーツや普段の生活にも熱中症対策として活きるところだと思います。
- リュック・輪行バッグを持参
- 自転車保険の加入で万一の怪我の補償とロードサービス
- 幾らかのお金とクレジットカード・電子マネー・身分証
- 凍らせたスポーツ飲料と塩飴
- スマホの充電器
熱中症対策として一番最初に準備したのが、リュックと輪行バッグを持参することです。
もし、ビワイチの時に輪行バッグさえ持っていれば途中で自走を諦めて、電車で帰る選択肢もあったはずです。
ロードバイクを知らない方向けに簡単に説明すると、ロードバイクは前輪と後輪が簡単に外れるようになり、そのホイールをフレームの両脇に持っていくことで結構小さいサイズになります。
この時に必要になるのが輪行バッグというロードバイクを入れる大きな袋です。
ただの袋ですが、JRや私鉄では規則などでフレームのまま電車内に持ち込むことは禁止されているのでロードバイクを持ち込む際には輪行バッグが絶対に不可欠です。
元々、ロードバイクの重量は軽く、10キロもないモデルがほとんどなので輪行バッグさえあればちょっと大きな荷物くらいに扱うことができます。
輪行バッグはそこそこ大きいですし、フレームを保護するパーツなどもあると良いので輪行バッグを持っていく時にはロードバイク用のリュックを必ず持ち歩いていました。
リュックがあれば洋服や食糧、ドリンクなども入れることができます。
次に、自転車保険に加入しました。
自転車保険に加入したのはこのトラブルがあって数年後のことですが、ケガの補償だけでなく、ロードサービスも使えるようにしました。
昨今では自転車による人身事故が相次ぎ、個人賠償責任保険として自転車を乗る時には義務付けられている自治体が増えていますが、その個人賠償と自分自身への補償、そしてロードバイクが自走不可能になった時にトラックなどで運んでもらえるロードサービスの保険に加入しました。
結局一度もロードサービスのお世話になることはありませんでしたが、自転車で転倒し頚椎捻挫をした時には通院保険として幾らかの手当を貰うことができました。
普段でも使える対策として、そこそこのお金とクレジットカードに電子マネー、身分証を持っておくと良いです。
お金は少なくとも数千円と小銭にクレジットカードは必須です。
最悪、お金が足りなくてもクレジットカードさえあればホテルに泊まることもコンビニで買い物することも可能です。
また、電子マネーも今では必需品だと思うので言うまでもないと思います。
この他、行く場所によっては身分証明書やお薬手帳のコピー、キャッシュカードを持っていく時もあります。
出先で病院にかかることがありますし、田舎などではクレカや電子マネーが使えず現金のみという場所もあるのでキャッシュカードがあれば安心です。
炎天下で朝から晩まで釣りをする時に必須なのが、凍らせたスポーツ飲料と塩飴です。
釣りをするシチュエーションだと近くに自販機やコンビニがないケースが多いので事前に持ってきたドリンクの他に、最寄りの自販機などで麦茶などを買っていってます。
炎天下だと1、2時間で溶けてしまいますが、その間は途中で買ったお茶などを飲めば常に冷えた状態で水分補給することができます。
また、塩飴は各社から色々売られていますが、塩分チャージタブレットを愛用しています。
味はスポーツドリンクそのものなので好き嫌いが激しい自分にはピッタリですし、普通においしいです。
最後に、一見関係のなさそうなスマホの充電器もあると便利な時もあるかもしれません。
自分が倒れた時と比べて、今は何をするにもスマホが必須です。
電話はもちろん、電車に乗るのも支払いもスマホなしでは出来ない人もいるはずです。
スマホに全てまとめるのは個人的にリスクが高いのかなと思いますが、身軽がいい人にはスマホは便利な道具です。
ただ、バッテリーが切れてしまえば地図も見えなければ電話もできません。
今や公衆電話の設置も限られているので万一の時にスマホのバッテリーが切れてしまった時に連絡を取ることができないのは危険です。
熱中症対策とは一見関係のないスマホですが、スマホがあれば熱中症の対処法をググったり、近くの病院を探すことができますし、最悪救急車を呼ぶこともできるので今の時代には必需品だと思います。
まとめ
琵琶湖で倒れてからもロードバイクを続け2016年くらいまで続けていましたが、ここまで酷い熱中症はありません。
また、2年前に横浜から江ノ島までの30キロをウォーキングした時もこの時の経験を活かして準備を進めました。
最近趣味になりつつある、バス釣りでも万全の熱中症対策を取りつつやっています。
10年以上前の出来事を振替つつ、熱中症を甘く考えない方が良いということですね。
おそらく、誰しもが熱中症(気味)を経験していると思います。
何度も熱中症になっても大したダメージがなかったので軽く考えていましたが、担当医の先生が怒っていたように、「熱中症でも死にます」。
今年の夏はいつも以上に暑くなりそうな予感ですが、無理のない範囲で楽しみたいですね。
余談ですが、意識不明で救急車で搬送されてロードバイクはどうなったかというと、まさかの自分を搬送している時に一緒に救急車で運んでくれたらしいです。
しかも、病院の駐輪場に鍵までかけて保管して頂けました。
もしロードバイクが放置されてたらきっと盗難されていたと思います…。
(7/4追記)
7月2日にKDDIで大規模な通信障害が発生し、auやauを利用するMVNO(格安スマホ)、UQモバイルなどのスマホが使えない事態が起こりました。
7月4日現在でも通信状況は不安定であり完全復旧にはしばらく時間がかかるかもしれません。
今回の事態でauからの緊急通報が減り、中には電話が繋がらない為に消防署に駆け込んだ方もいるとか。
過去にはドコモでも同様の事態が発生しており、スマホが使えなくなった時のことも考え直さないといけないと実感しました。
そこで、この事態が起こってから早速、電話ボックスで使えるように普段持ち歩いている小さな財布にテレフォンカードも入れました。
基本的に公衆電話なら救急や警察は無料で電話することができますが、その他への連絡は通貨ないしテレカが必須なので熱中症に限らず、地震などの災害時に備えて常備することにしました。